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ごもくば

触れたものの感想を綴ります。

哭声/コクソン 感想(ネタバレあり)

哭声/コクソン

2017/3/11 公開 ナ・ホンジン監督・脚本 韓国

 物語序盤は小さな笑いが起こるようなボケがあって、どこか緊張感に欠ける、村特有の停滞と閉塞が描かれている。鮮やかな色彩の潤沢な風景に惹きつけられた。殺人現場の生々しさと村人の暢気さの対比が不穏であった。てっきり事件解決ものだと思っていたのだが、登場人物が当然のように話す「悪霊」「お祓い」などの言葉で自分が事前に抱いていたイメージが間違っていたことに気づく。それでもまだ途中までは人間が犯人であり、何らかの仕掛けによって村人が発狂したのだろうと思っていた。しかしそれの予想も外れであった。村人の発狂は人智を越え、あらがう方法を見つけられぬまま不安と恐怖に包まれていく。柔らかく無邪気に笑っていた主人公の娘の豹変と絶叫は、観るものの身体を強ばらせるほどの鬼気があった。私がこの映画を観るきっかけになった國村隼もさることながら、この子役のキム・ファニが物語に不気味さを纏わせる一翼を担っていたと思う。結局誰が(何が)事件を始めたのかは明確にはならなかった。それどころか終わりさえもしていない。唯一わかっていることは、村には絶望が訪れたということだけである。

 物語の最初と最後ではガラリと雰囲気が変わる。まさかここまで陰惨な話だとは考えもしなかった。腹の底が重たくなる映画だ。